「ローソク足は使わないし、ファンダメンタルズも見ない。雰囲気で適当に米株とビットコインを買っている。」という20代の青年がいました。
せめてローソク足くらいは意識したほうが良いと言うと、「ローソク足【とは】っていうのは読んだけど興味ない。」という答えでした。
たしかに困ったときに検索しても、「とは」ばかり出てきてそれ以上進めず放り投げてしまいます。
「とは」ばかりでは、「いつ売買したらいいの?」と思ってしまいますよね。
なので、今回は「ローソク足とは」は不要だという人のために疑問に思うことに答えます。
※【とは】は一切なしです。
● なぜ基本なの?
● 実際にローソク足で市場心理、大衆心理、相場の本質を読むやり方
● FXと株のローソク足の決定的な違い
● プライスアクションって信用できる?
● ローソク足は複雑な市場心理を即座に見分ける
もくじ
ローソク足の大前提【市場参加者の心理】
テクニカル分析の講師として、本もベストセラーになっている小次郎講師も「ローソク足は形だけで相場状況がわかるのがすごい」とレポートでもよく書いていらっしゃいます。
では、市場心理です。
よく考えたら当たり前ですが、読みなれていくと深いしトレードのヒントがたくさん転がっています。
なので見逃さないよう、疑問は早めに解決しておきましょう。
【とは】が必要な人はこちら
市場心理はこの2つだけわかっておけば大丈夫
・お金を増やしたいという「欲望」
人がワーッと行動するエネルギー源は感情です。
市場参加者は「売買をして儲けたい」という動機があるので、その人たちを動かす感情は「恐怖」と「欲望」です。
伝説の投資王リバモアの伝記でも有名です。
大体ですが、「恐怖」から逃れるために売りたくなるし「欲望」が湧き起これば買いたくなります。
これはなぜか二つの通貨を比べているだけなはずのFXでも起きます。
そして、どちらかが強くなるとローソク足がびゅんと長くなりチャートが一気に動きます。
この知識をベースにすれば、日々のトレードもスッキリわかりやすいものになってきます。
10年のあいだ「経済心理学」などの本を読み続けましたが、実際のトレードで使ったのはこの2つの感情だけでした。
● 市場参加者を動かすのは感情
● 主な感情は「恐怖」と「欲望」
● これだけわかっていればOK
FXと株式の大きな違いは各国政府が絡むこと
これらの感情を持つ市場参加者とは誰でしょうか?
株の話から先にします。
例えば、ソフトバンク株の値動き(ローソク足の動き)を一番気にするのは、その株を持っている人です。
もう少し突っ込んでいうと、個人投資家や機関投資家です。
次に気にするのはその株を「欲しいな」と思っている人たちです。
市場心理を読むなら、この人たちだけのことを考えていても大丈夫なはずです。
しかし、FXはいろいろな国の法定通貨を組み合わせた「通貨ペア」をトレードするものです。
そうすると必然的に、それぞれの「国」の思惑も考慮にいれないといけません。
中央銀行、財務省、そして政府などです。
しかし、これらのファンダメンタル要素をすべて見ようとすれば膨大な時間と労力がかかりそうなのは想像できると思います。
それを節約するために、テクニカル分析で二つの通貨の力関係を一発で目視で確認します。
力を持つものの思惑の結果はチャートの形となってあらわれてきます。
こういう理由でFXトレーダーのほうがより一層ローソク足の必要性を強く意識しているのです。
● FXのファンダメンタルズをすべて追い続けるのは大変
● 国の思惑まで含んだローソク足チャートで市場心理を読み解けばFXの強い武器になりえる
FX市場の市場参加者とローソク足【読むのは難しくない】
FX市場心理を読むのにローソク足を見るとわかりやすいと書きました。
読み方はそんなに難しくないです。
【バイイング・クライマックス】
買いが殺到してチャートが放物線のように急に上がることがあります。
→こういうのを見ると人は「欲望」を刺激されて買いまくります。
そして、あるときに何らかのきっかけ(FXは中央銀行の政策変更などの場合が多い)で「おい、やばいんじゃないか?」という「恐怖」を感じた人が売り始めます。
ローソク足だと天井付近に上ヒゲが出始めるのがこの時です。
逆に、【セリング・クライマックス】というのもあって、これは「恐怖」から始まって逆に急落していきます。
どちらもトレンドが劇的に終わる瞬間で、きっかけの多くはどちらかの通貨の国がなにか行動を起こしたからです。
(すべてではないです。1990年代にはジョージ・ソロスという個人投資家はイギリスの中央銀行に売りを浴びせて相場をガラっと変えてしまったことがあります。)
ローソク足のヒゲが長くなるのは慌てて売買をする人が殺到するからです。
ここまで読むと、「それは個人投資家だけの感情ではないか?」「一国の財務省や機関投資家といったトップレベルの人たちがそんな感情に左右されるだろうか?」と疑問がわきます。
しかし、最近でも資源も豊富で大きな国なはずのロシアが昔年の恨みという感情もあって戦争という失敗をしています。
国でも個人でも、感情に負けて失敗することはあるのです。
● 個人も国も感情に振り回されるのはいつでも、どこでも同じ
ローソク足ってFXの役に立つの?株は?
上の図は、記憶に新しい「日本の円買い介入」で2022年9月22日の午後5時の1時間足に矢印をしました。
欧州時間に介入とはとても珍しいです。
日本の円買い介入のローソク足の特徴
日米間の金利差が広がり、この日も円が安くなりすぎて「1ドル146円」になりそうなところでした。
とにかく、一度に介入したので見たこともない長い陰線が出ています。
その陰線の下には「ラッキー!安いところで待っていたんだ。買うぞ!」という買いが入ってヒゲになっています。
(ついでにいうと、このときに勝った人はその後4時間後には売りにやられています。)
もし介入という意味も知らない人でも、このローソク足1本だけで何か大きなことが起きていて「売りが勝利をしている」ということがわかります。
他にも例えば、すぐ前のローソク足と比べることで市場心理が見えてきます。
「高値がだんだん低くなっている」とか「終値がとんでもないところで終わっている」とか、そういうことを目で見てすぐわかるのはすごいことです。
大昔に株の取り引きのために作られたローソク足ですが、FXについても「FX市場の市場参加者とローソク足」で書いたように絶対に必要です。
ヒゲ一本で「どちらかの国になにかあったかも!」と気づくことができるのは、エントリーの初動を早くできますしとても有利です。
● ・チャートが出てくるアプリで、FXの発注もできる
ローソク足を無視するとエコノミストに振り回される
ファンダメンタルも大事ですが、専門家は預言者ではないのです。
30年ぶりの規模の介入があったので、専門家も上がるか下がるか喧々諤々です。
ぜんぜん意味ないというツイートをする専門家の後に、何日かして別のアナリストが「意味あった」とつぶやいたりします
ローソク足をはじめとするチャートを見ていれば、ドル円を買っても「嫌だな下がりそう」に見えたらやめることができます。
専門家の意見に振り回される時間を節約できるのです。
ローソク足のフォーメーションは無意味?
正直、フォーメーション分析やパターン分析でFXにほとんど使えないものがあります。
理由は「ローソク足の十字線が無能なときは【即効性】のあるインジケーターで勝率UP!」などを読んでいただくとして、ここでは「すべてが無意味かどうか」を考えてみます。
FXであまり役に立たないものは個人的に以下のようなものだと考えています。
あくまで個人の考えなので参考程度にしておいてください。
また、株の日足では充分使えるので見捨てずにおきましょう。
三兵、三空
下降のときも形が逆になるだけで勢いがあるのは同じです。
これは株式の日足で出ると「強いトレンド発生」のシグナルです。
3本の間があくほどの急な動き(三空)なら、なおさら強いと見ます。
しかし、FXは24時間取引できるので日足でも前日と当日の間が空くことはまずありません。
そこで、【三空は出ないし使えない】ことになります。
レバレッジも効いているので、押し目や戻りを待たずにやってしまうと損失も大きくなって痛い目にあいます。
そんなことで、これらは使わないことにするのが無難といえます。
意味のあるローソク足いろいろ
そして逆に、FXでは絶対に使う機会のあるものの例として前にも記事に書いた以下のようなものをもう一度並べておきます。
考えは人それぞれですし後で意見が変わっても良いので、今書いたものだけでも知っておきましょう。
記事を読むのはみんな飛ばしながら読みますし、数分とかからないはずです。
こういった、ローソク足1本~数本で作られる形の他に「三角持ち合い」「フラッグ」などの壮大な形もあります。
しかし、今回はローソク足中心の話なのでまたの機会にします。
※三角持ち合い(トライアングル)のトレード方法はこちら
ローソク足で勝率をあげるには?
ローソク足で勝率を上げるには、全てのインジケーターと共通するコツがあります。
これだけでめちゃくちゃ勝てるようになるという人もいます。
ローソク足のダマシ回避ポイント3つ
ローソク足のフォーメーションやパターンの解説を読むと、もっともらしい事が書いてあります。
それは確かにそうですが、ダマシは必ずあります。
基本の回避ポイントを書いておきます。
これだけ知っていても充分勝率が上がります。
一度のダマシの失敗で何万円も損したことが誰にでもあるはずですからね。
- 出来高を見る:出来高のないときはどんなテクニカル分析にもダマシが出ます
- 銘柄の流動性を見る:たまにしか売買されない銘柄のローソク足はポロポロしていて使えません
- 急変時かどうかチェック:大きな資金が一度に流れ込む瞬間には大陽線や大陰線は出ますが、その前後はコマ足や長いヒゲがちょこちょこ出るだけで教科書通りのシグナルにはなりません
【裏技】自分だけのローソク足パターンを見つけてエッジを得る
ただし、毎月繰り返される雇用統計やCPI発表のときのローソク足は、名前こそついていないもののパターンがあります。
これをノートにでも書いておいて使うと、他のトレーダーを出し抜くエッジとなり勝率が上がることがあるのでこっそり覚えておきましょう。
例えば、指標発表時の前に長いローソク足が出始めることがあります。
その後、発表のときに大きく反転したりするのです。
必ずではないですが、これを見越して指値を入れておくような戦略が成り立つのです。
このことは、もちろんローソク足で酒田五法を作った昔の人も知らなかったことのはずです。
なぜなら、米国経済は無視されていたしインターネットがなくて情報を取り入れることができなかったからです。
それから、流動性のある銘柄なのにヒゲがやたら多いときは迷い相場の可能性があります。
デイトレードやスイングトレードには向かない相場で、超高速でスキャルピングするくらいしか参入余地がありません。
流動性:いつでも売ってくれる人、または買ってくれる人がみつかるということ。人気があってたくさん売買されることを「流動性がある」という。
※急変時かどうかはニュースを見る必要があります
※出来高の大切さ、出来高インジケーターの解説はこちら
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ローソク足の設定ポイント
MT4/MT5もcTraderもtradingviewプラットフォームも、ローソク足の色や幅を設定できます。
どう決めていけばいいのでしょうか?
身も蓋もない結論で申し訳ないのですが、こうなります。
以前、海外のローソク足の緑と赤の色が日本と正反対だということを書きました。
これを意識せずになんとなくあちこちのネット情報を見ているうちに、どちらが上昇か下降かの判断が鈍ってきます。
そういう判断が遅くなると、トレードのチャンスを逃したり売りと買いを間違えて発注して最悪損失を出してしまいます。
色をはじめとしたチャートの環境設定はトレードミスを防ぐためにもとても大切です。
わからないうちは、一つの設定を動かさずに数か月使ってみてから不自由を感じたら変えていきましょう。
どのプラットフォームも変更のメニューは右クリックやダブルクリックという簡単な操作で出せるようになっています。
※色変更、出し方の詳しい方法はこちらにしっかり書きましたので、読んでいってください。画像だけ見てもわかるようになっています。
※ローソク足の色だけに特化した記事はこちら
それでもローソク足は信用できないなら・・
ローソク足をどうしても信用できないこともあるでしょう。
嫌いな理由は「使っても負けた」「覚えるのが嫌だ」「面倒だ」「使わなくてもなんか勝てた」というものです。
トレードする銘柄によっては「ファンダメンタルだけで勝てる」という理由もあるでしょう。
しかし、ファンダメンタルだけで勝てるのは国債など一部の銘柄かと思います。
とにかくローソク足は見るのも嫌だという場合でも、チャートを見る機会はあると思います。
欧米ではローソク足よりもバーチャートがよく使われるそうですから、欧米トレーダー気分になっていいかもしれません。
どのプラットフォームでも、簡単に変更できるので気分転換にも良いでしょう。
※ローソク足、バーチャートの変更方法
まとめ【相場の例外すら発見するすごいローソク足】
ローソク足で市場心理の「恐怖」と「欲望」が見えてくるということを最初に書きました。
市場心理には他にもあって、「儲かるはずなのに誰も買わない」みたいなことも起きると子安増生教授と西村和雄教授の「経済心理学のすすめ」にも書いてあります。
よくある「なんとか理論」というものです。
それも、ローソク足を見ていると違和感としてすぐわかることがあります。
「利上げしたのに通貨が上がっていかない。ヒゲばかり出ているぞ」
こんなときには別の難しそうな心理が働いているのです。
または水面下でなにかあったとか、そういうことです。
もちろん、何があったかを調べている暇もありませんし個人投資家にとって本当の事にたどり着ける問題ではないかもしれません。
それならトレーダーは、ローソク足だけを見て、逆張りするか逃げるかという選択肢を選べばいいのです。
初動がはやくなって勝つ確率が上がります。
どうせ毎日FXのことを考えてしまうなら、毎日3分間だけでもローソク足を眺めてみましょう。
この記事が役に立つことを願っています!
※ファンダメンタルもさくっと読んでおく
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