「ダウ理論はFXじゃうまくいかない」
「株式市場の理論だよね?ちょっと違うんじゃない?」
ダウ理論をすべて海外FXにあてはめて使おうとするのは正直無理があると思っています。
反面、すごく役に立つことがあります。
FXトレードにダウ理論を応用し、勝率を高める方法を知れば良いのです。
ダウ理論の基本をFX特有の相場環境に合わせ、リスク管理やトレンド判断をわかりやすく紹介します。
初心者から上級者まで実践できる独自手法をお届けします!
● ダウ理論の意味
● 株式市場とFX市場の明確な違い
● ダウ理論をFXに使うと失敗する理由
● ダウ理論のFXに合わせた有効な使い方
● 本物トレーダーの意見
もくじ
結論【ダウ理論にはFX専用の使い方がある】
最初に結論です。
ダウ理論の基本法則がそのままでは海外FX、国内FXのトレード分析として使えないです。
理由を簡単に説明します。
私自身が経験しているので間違いありません。
究極の理由は株式市場とFX市場の性質が違う事です。
価格を決める理由も、似た部分もあるしぜんぜん違う部分もあります。
今回ははしょりますが、オプションとか先物とかの難しいめんどくさい要素の影響はFXのほうが強く受けます。
貿易問題もそのまま影響を受けてしまいます。
取引をする時間帯も違います。
取引をする人たちの事情も違う事が多いです。
きりがないくらい違いがあります。
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株式市場とFX市場の大きな違い2選
この上の図でいう「ふつうの取引」というのはほんとうに現物の株式を現金(電子もですけど)で売買した感じのことです。
FXならごくシンプルに「ドルと日本円を両替しました」という取引のことです。
そういうシンプルな値決めではない要素が世界にはたくさん転がっているので大変です。
共通する部分もありますがちょっとだけですよね。
株式用に考えられたダウ理論をそのまま使うと危険かなという気がします。
実際に日々トレードをしている本物トレーダー目線から気をつけたいことはこの2つです。
- 価格を決める要素がFXのほうがめちゃくちゃ多い
- 株式は「株を売買する人」の心理だけを考えればいいがFXの通貨ペアはそれぞれの通貨に関わる人すべての心理を考えなくてはならない
FXは両替するときの価格をトレードするので、いっぽうの通貨のことだけでは済まないということです。
こんな理由もあってダウ理論やグランビルの法則、エリオット波動がFXでは使いにくいのです。
では、このあと詳しい解説とFXでの使い方を書いていきます。
解説を飛ばしたい方は、FXでのダウ理論の使い方は「本物海外FXトレーダーのダウ理論の使い方」にあります。
ダウ理論とは?
ダウ理論を言い出したチャールズ・ヘンリー・ダウさんは証券アナリストでした。
為替の専門家というわけではなかったのです。
とはいえとても意味のある理論だと思います。
株式市場ではトレーダーのあいだで今までもダウ理論が使われてきました。
この理論は株式市場で株を買う人々のトレード心理と行動パターンを元に作られています。
たとえば1つ目の法則では「平均株価はすべての事象を織り込む」となっています。
よく考えて見れば当然のことで、トレーダーや大口投資家それぞれの個別の細かい事情が積み重なった挙句、ある時間に出された注文で株価がきまるからです。
それを平均していけば、ある期間の投資家たちのすべての事情や思惑がいちどにまとまるわけです。
たった1本の移動平均線にトレーダーたちの笑いや涙が込められている感じですよね。
それを数字だけで冷静に見れば、現状がどうなっているのかをだいたい見通せるということです。
トレーダーたちが売買する動機も、米大統領選挙の予想だったり結果だったりするのです。
そういうファンダメンタル要素も入っている平均を見れば、相場がわかるということをダウ理論は言っているのです。
こんな理由もあってダウ理論は基本的に日足のチャートで考えます。
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ダウ理論の6つの基本法則
- 平均株価はすべての事象を織り込む
- トレンドには3種類ある
- 長期トレンドは3段階からなる
- 平均は相互に確認されなければならない
- トレンドは出来高でも確認されなければならない
- トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する
意味は見た通りです。
でも初心者の方だとわかりにくい部分があるかもしれません。
ダウ理論の意味もこれから少し解説しますが、FXならではの使い方を先に読みたい人は「本物海外FXトレーダーのダウ理論の使い方」に飛んでくださいね。
平均株価はすべての事象を織り込む
「ダウ理論とは?」で平均について少し書きましたが、ここでは6つの基本法則を解説します。
世界中のトレーダーたちの売買は価格を作ります。
需要と供給があってはじめて価格が決まりますよね。
その結果を平均したのが「ざわざわをひとまとめにした数値=平均値」だということでした。
ざわざわの中にはさっき書いたファンダメンタル要因のほかにも豪雨や地震、ハリケーンなどの予測不能な自然現象などもあります。
一部の大口投資家が投機的に売買したことも、なにかのフェイクニュースが炎上した結果の瞬発的な売買であることだってあります。
ざわざわすべてを含んでいる平均値を使うテクニカル分析が有効であるという根拠にもなっているのです。
テクニカル分析派にとってダウ理論は思っていたよりもフレンドリーだったというわけです。
トレンドには3種類ある
上の画像はMT4/MT5で見た為替の1分足です。
さて、まず最初にトレンドと言えばこうですよね。
- 上昇トレンド
- 下降(下落)トレンド
上のように分けて考えることがありますが、ここでの3種類は以下のように期間で区別します。
上がっても下がっても同じです。
- 長期
- 中期
- 短期
たとえば短期ならスキャルピングやデイトレードで使うトレンドですよね、ということです。
長期は何か月とか何年とかになるので、株式ならずっと持ち続けて配当や株主優待をもらうようなトレードスタイルのときに考えることをいっています。
ちなみに上の1分足は「平均株価はすべての事象を織り込む」のオーストラリアドル/米ドルと同じ時間です。
トレンドの雰囲気が短期と長期とで変わるのはFXでも起きます。
ダウ理論でいうトレンドの条件は「トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する」で解説しています。
(長期)トレンドは3段階からなる
タイトルには「長期」をつけています。
でも実は、短期のトレンドにも法則があてはまることがあります。
3段階とは以下のようなことです。
- 先行期:先読みできる投資家が売買をはじめる
- 追従期:一般の人がそれを見て真似をする
- 利食い期:先行期の投資家が利食いする
トレンドの終わりが利食い期です。
これを移動平均線などのテクニカルで気づくこともできます。
それまであまり動かなかった価格が移動平均線からぴょーんと離れたら、何かが起き始めたと思えます。
そして移動平均線に近づき始めたら、もうみんな売買しなくなったのかな?とトレンド終了のヒントになります。
この3段階は市場の投資家たちの心理を説明しています。
鋭い人たちが先に買って、一般の人たちが慌てて買い始め、最後に乗り遅れた人たちが損をするような流れをいっているのです。
FXではそれぞれの相場でほんとうに当たっているかはいつもわかりませんが、先を読むためには一つのよりどころになってくれます。
平均は相互に確認されなければならない
これはちょっとわかりにくいですね。
相互になにを確認するのかというと、違う銘柄どうしということです。
違う銘柄の移動平均線を良く見比べよう
ということですよね。
この例だと、ドルの動向や強さを知るためには流通量が多いユーロもチェックしないと見落しがあるかもしれないという理由になります。
ゴールドのほうはなぜかというと、通貨どうしの交換とは違って実物を売買するものだからです。
ゴールドのようなものを「商品」とか「コモディティ」とか呼びます。
通貨と商品は根本的な性格が違うけど、やっぱり世界の市場に流通しているので、見ておきたいなということです。
ゴールドが急に米国で人気になって、ドルでゴールドを買う人ばかりが増えたらドルの人気がなくなり、ドル円が下がるかもしれません。
そんなことを予測するためにも通貨以外の商品などの値段もチェックしておきましょうという感じです。
画像はMT4/MT5でプラチナとドル円の日足を見比べたところです。
操作方法や基本をぜひチェックしてください。
※MT4の使い方
【完全版】MT4(メタトレーダー4)のダウンロード・インストール方法
【完全版】MT4(メタトレーダー4)の 操作方法 ~初心者編~
【完全版】MT4(メタトレーダー4)の 操作方法 ~レベルアップ編~
トレンドは出来高でも確認されなければならない
株式は市場で売っている数も決まっています。
ある株式を欲しい人が値段を言ってみて、持っている人が「その値段なら売ってもいいよ」と言うと値段が決まって取引が成立します。
人気の株式はみんなが欲しがるので高くなりますが、それでも売れたりしますよね。
こういう取引での値段をぜんぶ合わせると「出来高」になります。
出来高が大きければ、その株式が活発に取引されているし人気があるとわかります。
特に出来高と株価との矛盾が出てきたらトレンド転換の予想ができるので重宝がられます。
たとえば株価が上がっているのに出来高は増えないことがあるのですが、これが下降トレンドのはじまりといわれます。
なぜなら、株価が上がって喜んで飛びつく人々が減り始めているからです。
株式市場は朝はじまって夕方には終わり、夜中は動いていません。
しかしFXは24時間のあいだ価格が変わり続けます。
このせいで出来高もばらついて、いつ高くなるかわからないような状況が続くのです。
少しはこの法則のような傾向が見れるときはあるのですが、為替独自の理由で出来高が変化することがあるし、そもそも数え方が違います。
株式で言う出来高はMT4/MT5の「volumes」でみます。
これはティック数という売買が成立した単なる回数です。
しかし基本としてはFXで参考程度にvolumesを使う以上の便利さがあるかどうか謎のままです。
実際にはたまに気になったとき(値動きの原因がわからないときなど)に見る程度になりました。
トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する
なんのかんのでトレンドってだらだら続くともいえます。
それだけだと何にもならないので、ダウさんは「トレンドとは?」というのを決めました。
- 高値を切り上げ続けたら上昇トレンドが継続している
- 安値を切り下げ続けたら下降トレンドが継続している
なのでこのルールを破ったら「トレンドが終わりました」となります。
- 上昇トレンドで高値を切り上げしないで、安値を更新
- 下降トレンドで安値を切り下げしないで、高値を更新
つまり以上のようになると、トレンドが終わりましたとなります。
こちらもすべてがピッタリとあてはまることばかりではありません。
ダウ理論・FXでの使い方【そのまま使うもの・FX用にアレンジするもの】
ダウ理論の法則がそのまま使えるのかどうか体験もふくめて検証しました。
6つの基本法則 | 株式相場 | 海外FX |
---|---|---|
平均株価はすべての事象を織り込む | 〇 | 〇 |
トレンドには3種類ある | 〇 | △:市場の開いている時間も違うし参加者も違うので、株式の日足で見る感覚だけだとうまくいかない |
長期トレンドは3段階からなる | 〇 | 〇:ただし為替市場だけの突発的な急変があるのと、通貨ペアの反対側の心理が変わるとこのとおりにはならない |
平均は相互に確認されなければならない | 〇 | 〇 |
トレンドは出来高でも確認されなければならない | 〇:株の発行数は公表されているし、先物やオプションの影響は受けるものの、出来高には意味がある | ✖:実際の出来高や通貨の流通量は完璧にはわからない |
トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する | △:最近は特に地政学的な出来事などで一時的にトレンドが途切れてから元のトレンドに戻ることがしょっちゅう起きる、また電子取引の速さが影響してシグナルが効かないこともある | △:テクニカル分析のほかの要素も見つつ繊細に見分ける必要がある、株式と同じように電子取引やAI判断の瞬間的な相場の荒れがあるのでダウ理論に頼りすぎるのは危険 |
この一覧表を見つつ、各記事をチェックして海外FXトレードに役立ててください。
本物海外FXトレーダーのダウ理論の使い方
ダウ理論は株式市場向けの理論です。
海外FXに応用するためのアレンジが必要です。
本物のトレーダーとしての視点を活かし、ダウ理論のポイントをFX特有の特性に合わせて解説します。
さらに実践に役立つ独自の手法を提案していきます。
1.FX専用の「トレンドの定義」
ダウ理論では「高値・安値の更新」がトレンドの基準になります。
そしてFXの市場は株と比べて流動性が高く、より頻繁に上下動します。
解決策としてFX市場の特性に合ったトレンド定義を仮に決めて、具体的な判断に使うのです。
例としてポジションを持つ時間で分けてみましょう。
- スキャルピングやデイトレ向け:1分足でローソク足数本が高値を更新するだけでも上昇トレンドとみて買いをする、など
- 中期~長期向け:長い期間になるほどダウ理論にあてはまりやすくなるが、日足を見て収集艦のトレードをするなら「日足が移動平均線の上にある間は上昇トレンド」のように簡易的に決めてもじゅうぶんトレードできます。
1分で終わることもあるスキャルピングでは、ダウ理論のほとんどの法則が使えません。
2.ダウ理論を利用するときのリスク管理方法
ダウ理論を使う際、リスク管理がカギとなります。
FXのハイレバレッジで大きくトレンドに乗れると嬉しいものですが、気を付けることもあります。
1時間足以上のデイトレード~中長期トレードではダウ理論の「トレンドは転換の明白なシグナルが出るまで継続する」を使ってもいいとは思います。
しかし、スキャルピングでやると運ゲーになってしまいます。
また、トレンド終了のシグナルがはっきりしないとか、経済指標や政治事件があって乱れそうだとかいうときはきつめのストップ注文をしておくほうが良いです。
海外FX業者のゼロカットもうまく使えるとなお良いです。
3.相場環境を見極める「ダウ理論とFXのテクニカル指標の融合」
FXでは、ダウ理論に他のテクニカル指標(例えば、フィボナッチ・リトレースメントやピボットポイントなど)を組み合わせることで、相場環境の精度が上がります。
特に「トレンド相場」か「レンジ相場」かの見極めは必須です。
トレンド相場であるかどうかは、ダウ理論で高値更新などをみればわかります。
テクニカル分析ではMACDやRSIなどのオシレーターが静かになったらレンジ相場です。
ほかのテクニカル分析だと移動平均線が真横というか水平になっていたらレンジ相場です。
トレンド相場のときはダウ理論が参考になりますが、レンジ相場のときにダウ理論を使おうとするとうまくいきません。
4.「プライスアクション」との融合でダウ理論を補強する
ピンバーなどのプライスアクションもFXには有効です。
プライスアクションを簡単にいうとローソク足の形で相場を予想することです。
ダウ理論とプライスアクションの組み合わせで、トレンドの転換点やエントリーポイントをスパッと決めることもできます。
たとえば、「ダウ理論でトレンドを掴んだ後、ピンバーでエントリーする」と決めておくことはとても実践に使えます。
順張りなら、上昇トレンドのときの押し目買いのタイミングをピンバーでつかめます。
逆張りなら、ダウ理論で上昇トレンドとわかったら出来高が減っていくのを確認して、トレンドの終わりを待ち、高値でポンとピンバーが出たら売りをするという作戦もありです。
ピンバーについては過去記事に詳しく載っています。
5.ダウ理論の「大衆心理」部分をFXに応用
ダウ理論は、株にまつわる大衆心理の反映を重視しています。
FXでは、大口投資家や機関投資家の動向も影響を与えます。
FX市場で大衆心理だけが価格に影響すると思ってしまうと失敗します。
どちらかというと大衆も大口もまとめて「市場心理」と考えたほうが成功します。
ひとりひとりの心理を分析するわけにはいかないので、平均値が大きくうごいたときは市場心理も動いたと解釈して大勝負をしかけることもできます。
6.出来高をFXで使うには
出来高についてですが、「ダウ理論・FXでの使い方」の表に書いたようにFXでは出来高を簡単に把握するのはまず無理です。
そのかわり「ティック数」というのを表示してくれるテクニカルのインジケーターがあります。
MT4/MT5のメニューでは「volumes」(数量)となっているものです。
これが「ティック数」を棒グラフで出すものです。
「ティック数」というのは売買が成立した数です。
だから短時間のうちにティック数がすごく多ければ活発だといえるわけです。
これを株の「出来高」とだいたい同じように使えるだろうということで使うことがあります。
トレンドが終わることもあるのです。
「volumes」が減ってくると次に何があるかわからないのは確かなので逃げるという判断もできます。
FXで利益確定を迷っているときなどにおおいに使えます。
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理解度テスト
理解度テストはうっかり間違えやすい所にしましょう。
ダウ理論とFX市場
1.ぜんぶを足して平均しているんだから、FXにもあてはまる
2.FXと株式市場は違うし、ダウ理論は株式市場用だからあてはまらない
株式市場とFX市場に違いがありますが、価格を純粋に平均した平均値や移動平均線には意味があります。上がったり下がったりする価格の歴史をぜんぶ含んでいるともいえます。
ただしそれがすべてではなくて、ほかのテクニカル分析も使わないとFXトレードはやりにくいです。
トレンド転換
1.「volumes」はティック数なのでトレンド転換時期をはずすことがある
2.「volumes」はティック数だから減ってきたら当然、トレンド終了の合図になる
しかし、ティック数というのはあくまで売買が成立した数なだけです。
たった1回の売買ですごい分量がやりとりされたのかもしれず、実態は株の出来高よりは見えにくくなっています。
当たり外れがどうしても出てきてしまうので、ダウ理論のとおりに使うのは厳しいかと思います。
まとめ【ダウ理論はFXにこう使う】
ダウ理論がFXに有効なのは、トレンドの見極めとトレンド終了のヒントがあることです。
3段階のトレンドは見事に投資家の心理を説明しています。
使えないとがっかりするだけでなく、使えるところを上手く使っていきましょう。