「最低の価格や最高価格がわかると思ったのに、うまくいかない」
こんなふうに従来のエリオット波動の複雑なルールや数え方に挫折する人続出です。
そこで今回は本物トレーダー目線でやっている「波の上下だけを意識する」というシンプルで強力なアプローチをご紹介します。
● エリオット波動は心理をみている
● 「波の上下だけを見る」新しいアプローチ方法やり方
● トレーダーとしての具体例
もくじ
【結論その1】相場は上がったり下がったりするだけ
【チャートつまり相場が上がったり下がったりすることを忘れがちだから忘れないようにすれば良いだけ】
これがチャートの波を利用する勝ち方の根本です。
エリオット波動理論は、株式市場やFX市場などで使われる非常に有名な分析手法です。
この理論は、価格変動には心理的なパターンがあり、それが「波」の形で繰り返されるという考えに基づいています。
日本にもエリオット波動研究所というところがあり、日々活動されています。
ほかにもエリオット波動がお得意なアナリストさんがいらっしゃいますよね。
「ドル円が反転するのは〇〇日頃」という予想を立てて発表したりされていて、たまに見るのも参考になります。
しかし私たちにはどうしてもうまく数えられないまま終わってしまうという悩みがあります。
すばらしい理論なのでちょっとだけでも毎日のトレードに生かしたいですよね。
この結論【相場は上下する】の意味
結論の意味です。
チャートがつるーんとまっすぐ進んでいくようなことはありえません。
世界中で売買する人々(機械も)がバラバラの都合を持っているしFXならもっとバラバラになります。
FXは24時間、世界中で動いているからです。
さっきまで寝ていた誰かが突然、ドルを売り始めるかもしれません。
チャートはいつも上に行ったり下に行ったりしています。
下がったときには売る人が勝っている
上がったときには買う人が勝っている
この2つを見つつ自分のポジションを決めていくだけでも充分に利益を追いかけることができます。
- 下がったときに買いたいなら下がりきるのを待つ
- 下がったときに売りたいなら一時的な反発を待つ
- 上がったときに売りたいなら上がりきるのを待つ
- 上がったときに買いたいなら一時的な下げを待つ
- しかし難しいなら、エリオット波動を見つつ押し目と戻りを待つのに使うだけでも良い
すごくあたりまえで誰でも思いつくことですが、意外とできません。
下がり続けているチャートが終わりそうなときと、上がり続けているのが終わりそうなときを、エリオット波動が示してくれるからです。
そしてそれがはずれたとしても、押し目と戻りのチャンスはある程度予想がつくのです。
1波の次に2波が来る…みたいなことを考えながらやればいいからです。
しくみは「エリオット波動とは」を読んでくださいね。
くだらないことを長々と書いているように見えますが、トレードを続けていると忘れてしまうのです。
こんな単純なことを忘れるのは毎日流れてくるニュースや経済指標に振り回されてしまうからです。
初心者の方は特にトレードをはじめるまえに「相場は上がったり下がったりする」と何度か言ってからでも良いほど大切なことなのです。
【結論その2】つまり何を知りたいか?を決めれば使える
皆さんがエリオット波動に期待することはなんですか?
- 儲けたい
- 安値になるのを前もって知れば安く買える
- 高値になるのを前もって知れば高く売れる
これでトレーダーの期待がシンプルにまとまりました。
一番知りたいのがチャートの山と底(谷)だと思います。
エリオット波動はよくできていて、生き物のようなチャートのどこで熱くなるかというのをとらえてくれます。
それなのにとても難しく面倒なのです。
自分で波動を数えるか誰かの数えたのを確認するか、どちらかをすればそれで作業は終わります。
それはハズレるかもしれません。
しかし自分が「高値はここ」「底値はここ」と決めた場所で淡々と売買をつづければ利益は少しずつでも増えていく可能性が高いです。
なぜなら徹底してエントリーとエグジットのルールを守っているからです。
ルールを守るのはトレードの基本中の基本です。
大きな政治事件や金融事件という例外があるときはあえてルールを破ることも必要です。
そうでなければトレードというのは毎日飽きるくらい同じルールでずっと繰り返しやるものなのです。
過去記事で参考になるものがあります。
この記事はほかのテクニカル分析を使っていますが、エントリーやエグジットの解説があるのでぜひ読んでおいてください。
【計算一切なし!】移動平均線で「損切り」「利益確定」「エントリー」を1度に決める
エグジット:エントリーの反対で持っていたポジションを清算することで、損切りや利益確定という結果を生む
エリオット波動とは
新しい「波の上下だけを意識する」やり方のまえに少しだけエリオット波動の意味を書いておきます。
すぐに新しいやり方を知りたい人は「波の上下だけを意識する」を先に読んでください。
では解説です。
エリオット波動も最初は株式相場で使われていたものなので、チャートが上がるほうが嬉しいということが大前提です。
ドル円についてですが、正直いってドルのほうが基軸通貨という強みを持っているので「ドルが上がった」という感覚だけでトレードできることが多いです。
ドルはトレード対象としての重要さが段違いということで、日本円の存在感はそれには及ばないと思っておきましょう。
それでも他のテクニカル分析はいちおう見ると良いです。
株式とFXとの違いがわかったら、基礎の考え方を見ていきましょう。
エリオット波動の基礎
できるだけ簡単な説明にしておきます。
エリオット波動理論は、「トレンド」と「修正」の波からなる市場のパターンを解明するものです。
難しいですが「上下に動く」と言っているだけともいえます。
どうしても意味がわからないときは、ざっくりですがこんなふうに理解しておきましょう。
- 相場がどんどん上がっていく途中で意味ありげな上下運動があり、最後には下がる直前らしい運動をする
- 下がるときは上がる時よりも少しシンプルな動きをする
- その動きは市場参加者の心理からくるものである
以下が基本構造です。
この先は飛ばしても大丈夫ですが、なぜなのかはわかっておいた方が良いので時間のあるときに読んでみてください。
お気に入りにしておくとか、何かの方法でこのページを保存するのをおすすめします。
5波(ごは)のトレンド
上昇トレンドの場合、価格は以下のように動きます。
- 波1: 初期の上昇(まだ市場全体の注目は薄い)
- 波2: 初期の利益確定での調整(しかし、波1の始点を割り込まない)
- 波3: 最大の上昇波(市場参加者が本格的に参入)
- 波4: 一時的な反発(でも波1の高値を割り込まない)
- 波5: 最後の上昇(勢いは波3より弱い)
エリオット波動は波3が一番長いのが定説で、こういう条件を元にチャートに番号を付けているのです。
といってもピッタリそのとおりになるはずもなく、エリオット波動研究科でもないかぎりは、だいたいのなんとなくで数えていくしかありません。
それでも相場観は育つので、いろいろとやってみるのは良いと思います。
ちなみに3波が大きい理由は、一般の人も上がっていることに気づき始めるころだからです。
そうするとみんなこぞって買いに来るので一気に上がるわけです。
最初の1~2波あたりではプロレベルの人たちがこっそり買っている段階なわけです。
それを眺めていた一般のトレーダーは人数が一番多いはずですから3波が一番大きいとされるのです。
5波が来たら上昇が終わるとされるのは、一般の人よりも遅く上昇に気づいて買いをはじめた人たちだからです。
最後に買うタイプの人たちが買ったら、もう買う人がいなくなるので終わるだろうということになるのです。
ちょっとざっくりすぎましたが、市場心理とあわせるとだいたいこんな感じになります。
3波(さんぱ)の修正
トレンドの後、市場は以下のような修正波を描きます。
- 波A: トレンドの一時的な反動
- 波B: トレンド方向への一時的な戻り
- 波C: 本格的な修正
分かりにくいですが、修正というのはここでは「上昇トレンドが下がる」ということです。
「修正」と呼んでいるのは株だったら超長期でみれば必ず上がっていくからです。
なので基本上がるはずのものが修正されたという言い方になります。
FXで使いたいので、ふつうに「下落」と思っていれば良いのです。
この3つの波は以下のように動きます。
下落トレンドのはじまりくらいはちょっと上がるときもあるが、やっぱり最後には下がっていく
これだけのことです。
ちょっと上がって戻すことを市場心理で説明すると、まだ上昇だと思っている人が残っていて、ちょっと下がったからラッキーと思って買うのでこういう形になるのです。
その後、逃げ遅れた人々も慌てて売り始める瞬間がやってきて、どーんと落ちていきます。
このあたりの市場心理は「ダウ理論」で詳しく分析できます。
海外FXに合わせた使い方の記事があるので読んでみてください。
※市場心理も自分のメンタル管理もあります。
【勝ちつづけるための負け方⁉】ローソク足を使ったメンタル管理
重要なポイント【フラクタル構造と上下について】
上の図は小さい場所の形と大きい場所の形が同じなのです。
こういうのをフラクタルの形といいます。
エリオット波動はフラクタル構造を持つというのを読んだことがあるかもしれません。
1分足でも日足でもエリオット波動を数えることができるということですね。
小さく上下しつつ大きな上下を描いているのです。
複雑に見える場合がありますが、波の流れを把握することがポイントです。
次でいよいよ海外FXのためのシンプルなやり方を解説します。
「波の上下だけを意識する」新しいアプローチ
エリオット波動を使おうとすると、波を正確に数えたり、フラクタルの詳細を見たりと、複雑な作業に直面します。
しかし、これをあえて無視し、「波の上下だけを見る」というシンプルな方法を使えば、トレードの実践に役立てることができます。
やり方ざっくり
チャートを出して、目立つジグザグの動きをみつけてトレンドラインを引いてみます。
それに対して、1波などと数えなくても良いので大きな山や谷をチェックしていけばエントリーポイントがわかってきます。
上の図はジグザグ(Zigzag)というMT4/MT5のインジケーターを出したところです。
ぶっちゃけ、これを「1波、2波…」と数えてもいいと思っています。
もちろんそれだけで100%当てられるわけではありませんが。
これだけだと6波くらいまでできたりしますから、そこはもう気にせず上下だけを気にしてやっていくわけです。
初心者のうちは何度かやってみて雰囲気をつかんでいきましょう。
手順をここから書いていきます。
上下の節目(波の山と谷)に注目する
波がどこでピークを迎え、どこで底をつけたかだけを確認します。
ここでも細かい波を数える必要はありません。
未来を完璧に決めることはできませんが、過去の底を見て「上がるだろう」とやっていくのです。
大きな波をつかむ
「大きな山の後に谷が来る」というシンプルな法則を利用する方法です。
山(トレンドのピーク)から売り、谷(トレンドの底)から買う目安がわかります。
ジグザグで描いたラインを見ながらやっても割とうまくいきます。
この方法は特にイグジットのポイントをしっかり決めてから使ってください。
上の図だと、一番高い所の前後が大きな波ということです。
これの後にしばらく下がってまたゆっくりと上がっていきます。
こういう波はだいたい似たような動きをするので、買うか売るかの場所が決まってくるのです。
好きな所でポジションを取れば大丈夫です。
トレンドラインの引き方
トレンドラインの詳しい引き方は過去記事にあります。
使い方もあるので、難しくないのでやってみてくださいね。
ちょっと解説しますと、こんな感じです。
- 「山→谷→山」のような形があったら波の方向にトレンドラインを引く
- 上昇の波なら、安値を結ぶラインを引いて次の谷を狙います。
- 下降の波なら、高値を結ぶラインを引いて次の山を狙います。
上の図では下降の波のラインを目安にして、ラインに近づいたら戻り売りをする作戦です。
上昇の波なら、押し目買いを狙えます。
このラインの引き方を最初はやってみてください。
慣れたら好きな引き方をしたり、MT4/MT5のジグザグインジケーターを出して楽をしても良いと思います。
トレンドラインが効かない?【嘘トレンドライン】【偽ブレイク】の対処法!
トレンドラインの【始めと終わり】はどこ?ラインの消滅条件と高値安値での引き方
エントリーポイントを決めるのに使う
- 山の後に下降トレンドを見越して売る。
- 谷の後に上昇トレンドを見越して買う。
エントリーする場所のひとつの例です。
エリオット波動の「5波」が終わったと思えば売れるということです。
エリオット波動を知っていると売る決意もしやすいですよね。
エリオット波動・新アプローチのメリット・デメリット
波があることはわかっていつつ、細かく数えずにエントリーやエグジットを決めていく方法でした。
簡単だけどメリットだけでなくデメリットもあるので書いておきます。
メリット
今回紹介した手法は簡単なところがメリットです。
- 複雑な波動の数え方を無視できる
- 視覚的な判断が楽で、チャートを見て、明確な山と谷だけを追いかければよい
- 短期トレードにも長期トレードにも応用可能
デメリット
簡単なのはいいですが注意する点があり、それがデメリットとなります。
- 波の上下を見るだけでは、完全な分析とはいえないのが難点
- ダマシ(フェイクアウト)のリスクは常にある
他のテクニカル指標(RSIや移動平均線)と併用することで、精度を高めましょう。
完璧に未来を予測できたら誰でも儲かってしまいます。
それはありえずダマシは発生します。
ダマシを減らすために、複数の時間軸で波を確認すると良いです。
まとめ
エリオット波動は、価格の動きに隠された心理を読み取る強力なツールです。
しかし、複雑さゆえに扱いにくいと感じる方も多いでしょう。
そこで「波の上下だけを見る」というシンプルな方法を活用すれば、エリオット波動の本質を保ちながら、直感的かつ実用的に市場を分析できます。
あなたもぜひ、このアプローチを使って次のトレードで成功をつかんでみてください!
※テクニカル手法はたくさんあります!
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