海外FXではECN口座とSTP口座というのがよく出てきますね。
意味も使い方も、そして取り扱い業者もどこなのかわからないですし、自分がどちらを使って良いのかもわかりません。
過去記事の「【NDDはDDとこう違う!】FX投資家歴10年のトレーダー目線で解説」にも軽く取り上げていますが、今回はECN口座とSTP口座について詳細なところを説明します。
● NDD口座とSTP口座との関係
● ECN口座の詳細
● STP口座の詳細
● どちらを選べばいいの?【徹底比較】
ECN口座とSTP口座の関係を図でざっくり

図のようにNDDの仲間の一種としてECNとSTPがあります。
NDDはなんだったでしょうか?
どれも私たちトレーダーがFXをするときに注文をしてから、業者がそれを約定するまでの方式の呼び方です。
ネットで探してNDDやDDの解説を読むとわからなくなるので、ここでまとめておきます。
- NDDやDDのことを発注方式という
- ディーラーが介入しないNDD方式の価格提供のほうがトレーダーには安心感がある
- 海外FXではNDD口座の業者を選ぶと良い
- NDD口座には、もっと詳細に分類するとECN口座とSTP口座がある
NDD方式の発注システムについては過去記事にしっかりあるので読んでみてください。
【NDDはDDとこう違う!】FX投資家歴10年のトレーダー目線で解説
ECN口座とSTP口座の特徴的な違い

最初に簡単に、目立つ特徴と当サイト独特の見分け方を並べておきます。
急いでいる人はここを読んでください。
ECNとSTPの違いざっくり
採用業者 | 主な特徴 | 見分け方 | 最終取引コスト | 手数料 | |
---|---|---|---|---|---|
ECN口座 | ほとんどの人気業者 | 仕組み上、スプレッドがゼロに限りなく近い | 「Zero」とついていることがある | 低め | あり |
STP口座 | ほとんどの人気業者 | スプレッドが狭いが、ECN口座よりやや広め | ノーマル口座のほとんどはこれ | ECN口座よりも多め | なし |
ECN口座もSTP口座も、ノーディーリングディスクであるNDD口座なので、市場に注文を直接流すことで業者によるレート操作はないとされ、透明性が担保されています。
そのNDD口座も、このようにスプレッドの違いなどで分かれているのです。
海外FXではタイプの違うFX口座をいくつも持つことができます。
そのようにいくつも用意された口座タイプのなかにECN口座やSTP口座がちゃんと用意されているわけです。
では先輩トレーダーはどれを選んでいるのでしょうか?
ECN口座は「スキャルピング用」で、STP口座は「好きな銘柄を長く持つため」「ボーナスをもらうため」「スワップポイントを安定してもらうため」など使い分けています。
スワップポイントはどちらの口座でも発生するのですが、
使い分けとして「長期保有向き」なSTP口座が選ばれることが多いのです。
XMのECN口座とSTP口座

イメージがわきにくいので、特定の業者を例にします。
XMは日本語サービスも充実していて使いやすく、ECN口座もSTP口座も作ることができ、同時にそれらの口座を持っていても大丈夫です。
STP口座のうち、誰もが最初につくるのがXMのスタンダード口座です。
口座開設ボーナスもあるし、手続きもわかりやすいからです。
なかには最小取引サイズが10通貨からというマイクロ口座から始める人もいますが、最近では気にせずにスタンダード口座からスタートする人が増えています。
これは人それぞれの好みで良いでしょう。
今はECN口座の「XMTrading Zero口座」ができたので、そんな不満も消えつつあります。
※XMの詳しい情報とおすすめな使い方
XMの評判ってどう?9年使い続けてわかったXM Tradingのチートとは?
ECN口座は【手数料】が少し残念ポイント

ECN口座とは、NDD口座のひとつで、トレーダーは直接市場にいるほかのトレーダーと取引します。
そのため人気通貨なら約定も速く、スプレッドも限りなく0に近くなります。
ちなみにトレーダーが立ち向かう市場は「ECNネットワーク」と呼ばれ、そのネットワーク内で取引が成立しています。
ここに業者・ブローカーが干渉する余地はほぼないのです。
海外FXでは、ボーナスがあるかどうかも気になります。
ECN口座の業者側の利益が手数料だけなこともあって、ボーナスなどのサービスはなしのところが多いです。
● だから最安値のスプレッドを期待できる
● 海外FXに慣れてきた人向けかも
● ボーナスはないところが多い
構造と方式【トレーダーの注文の流れ】

ECN(Electronic Communication Network)口座がインターバンク市場に直接流れるイメージ図です。
この図はちょっと間違っていて、トレーダーは「ECNネットワーク」内で行き来する価格で取引をし、実際はトレーダーのパソコンからダイレクトに世界のインターバンク市場につながるのではなく、海外FX業者がマッチングしてくれるというわけです。
それが「ECNネットワーク」です。
ネットワーク内の他の参加者と直接取引と同じ約定時間と価格で取引ができます。
業者がそこに入り込まないようにしているので、取引の透明性が高まります。
約定スピードはあらゆる口座タイプのなかでも断トツで速いです。
しかしこれも市場の流動性や銘柄の性質によって遅くなることはあります。
LP(リクイデティプロバイダ・流動性プロバイダ)
直接取引といっても、アメリカ在住のマイクさんの提示価格とつながるのではなく、LPと呼ばれるところから価格を提供されたものを使います。
この価格を入手するのが海外FX業者のシステムの仕事です。
LPは「liquidity provider」のことで、大手金融機関・機関投資家・銀行・ヘッジファンドなどです。
より多くの売買希望者がいるので希望価格もさまざまです。
そのためトレーダーにとって思い通りの価格で素早く約定しやすくなっています。
プライスアグリゲーション
「プライスアグリゲーション」(Price Aggregation)とは、リクイディティプロバイダー・市場参加者から提供される価格情報を一手に集めて価格を決める一連のプロセスです。
価格がひとつに決まり、そのたったひとつの価格にすべての市場参加者の意図が統合されていることになります。
ECN口座ではネットワーク上の参加者全員が提供する価格が集約されて最良の価格を提示するようになっています。
市場の競争力も守られますし、トレーダーにとっても有利な条件で取引しやすくなっているのです。
スプレッドは狭いが変動する
ECN口座では、スプレッドが変動します。
市場では常に流動性・需要と供給・ファンダメンタル等の理由でスプレッドが変化しています。
ECN口座はこの市場から価格(レート)を取ってきているため、変動もそのまま受け入れてしまいます。
スプレッドはマイナスになって得をすることもあります。
しかし、奇想天外で素っ頓狂なとんでもない広いスプレッドになることもあるのです。
こんな動きを動体視力の良いトレーダーは狙っているのですが、
まずは初心者として流動性があってスプレッドが開きにくい通貨ペアを選んで取引したほうが良いです。
流動性のある通貨ペアとは、世界で最も取引される通貨ぺアでもあります。
一番はユーロ/ドルです。
次にドル/円が無難です。
他に、それなりに流動性があるのは大国の通貨で、ポンド/ドル、ユーロ/ポンドなどです。
このような通貨ペアはメジャー通貨のペアともいわれて人気が高いのです。
ただしポンドは値動きが荒い事があるので気を付けましょう。
手数料あり
ECN口座は基本的にスプレッドがゼロに近い状態でトレードできる優れた方式です。
これだと、トレーダーにとって得にしかなりませんから業者は手数料を取ることにしています。
ECN口座では業者の利益はスプレッドではなく手数料ということになります。
よく一覧表にスプレッドがあって「0.03pips」などと書かれていますが、これはよほどの事故のような出来事で最高にスプレッドが広がったときも入れて平均としているのです。
がっかりすることはなく、経験的にNY市場のように一日のうちでも流動性が高いときには何度スキャルピングしてもスプレッドは0です。
そして手数料よりも大きくなるように利益確定をすれば、なかなかうまくいくものです。
手数料を怖がることも無理に避けることもないのです。
ドル/円1万通貨の取引で700円です。
手数料は、なんとなく嫌かもしれませんが、手数料があるおかげで「スプレッドに頼らずに利益を出しているということは、約定の透明性が高まり、約定価格がより市場価格に近いのでかえって安心」という考え方もできるのです。
スリッページ・リクオート
どんな口座でもスリッページは起きますし、そうなればリクオートの可能性も出てきます。
スリッページとは、注文価格と実際の約定価格との差が開いて約定してしまうことをいいます。
ECN口座も例外ではないです。
注文を出したとしても、希望の価格でネットワーク上の誰も受けてくれなければどんどん約定価格が開いてしまいます。
このまま約定してしまえば、大きなスリッページとしてトレーダーには不利になります。
特にスキャルピングでは死活問題ですね。
リクオートは、価格差が開いてしまったので約定ができないときに「約定できませんでした。違う価格ではどうですか?」と再度、価格の提案をされることです。
「約定拒否」ともいわれます。
損な価格で約定するよりもましかもしれませんが、やはり避けたいものです。
これを極力避けるためには流動性のある時間に流動性のある銘柄を取引することです。
トルコリラなどのエキゾチック通貨はECN口座でのスキャルピングには向いていないといえるでしょう。
中級者向きの口座といえるでしょう。
STP口座は【スプレッド】が少し残念ポイント

STP(Straight Through Processing)口座は、外国為替取引(FX取引)において一般的に使用される口座タイプの一つです。
STP口座の主な特徴もまとめました。
よくスタンダード口座などと呼ばれる口座タイプで、ボーナスがもらえる業者もあります。
たいていはこのSTP口座からはじめて、慣れてきたらECN口座に移行するという流れのトレーダーが多いです。
業者側の利益はスプレッドなので、ECN口座よりも利益が多いとされています。
そのためボーナスなどのサービスやイベントも開催しやすくなっています。
● 初心者が最初に作るならおすすめ
構造と方式【トレーダーの注文の流れ】

STP口座でも市場の価格とあまり変わらないレートを提供してくれます。
しかしトレーダーと市場の間に海外FX業者が居てスプレッドを乗せています。
そのかわり手数料は取らないという方式なのです。
上の図だと人がやっていますが、こんなことはなくて、システムがすべて電子的操作をやっています。
もちろんNDD(ノー・ディーリング・ディスク)なのでディーラーが間に入って価格を操作することはありません。
約定価格は速いほうです。
しかしECN口座に比べると少し劣るところがあります。
トレーダーの注文指示が自動的に市場へ送信され、リアルタイムで執行される流れは同じです
また、大口注文にも耐えられるように設計されているので機関投資家でも使うことができます。
LPとプライスアグリケーション
LP(リクイディティプロバイダ)と業者とトレーダーの関係は、ECN口座と変わりません。
LPによってプライスアグリケーションが進んでいってトレーダーにとっても有利な価格が決まっていきます。
ECN口座と同じように価格には透明性があります。
トレーダーに提供される前にスプレッドが乗りますので、次で解説します。
スプレッド
この口座の大きな特徴としてスプレッドがあります。
STP口座もスプレッドは変動します。
市場は常に動いていて、次にどんな価格になってしまうかは誰にもわかりません。
STP口座もECN口座と同じように、市場から提供されるリアルタイムのレートを利用はしますが、そこにスプレッドを乗せるのでどうしてもスプレッドは広くなってトレーダーが不満に感じるような価格になってしまいます。
それぞれのメリット・デメリット

トレードにとって約定するときの価格はとても大切です。
そのレートが信頼できればストレスのない有利なトレードに近づけます。
国内FXの店頭取引(OTC)はDD方式といえるので、いくらでもトレーダーにとって不利な価格を作れてしまいます。
そういう意味でも海外FXの人気が衰えていかないのは納得です。
ECN口座とSTP口座/共通のメリット

これら2つの口座に共通するメリットは以下です。
- 約定価格の透明性
- 約定スピードの速さ
- リクオート(約定拒否)の少なさ
- スリッページの少なさ
上でも書きましたがレートの透明性としてストップ狩りや不利な価格提示、スリッページが少ないのは信頼に値しますね。
上の図は平均的な成績のイメージです。
ECN口座とSTP口座/共通のデメリット
約定価格(レート)が市場直結ということは、それがデメリットになることがあります。
- 銘柄によって巨大なスリッページ・約定拒否の可能性
- 市場の状況によって巨大なスリッページ・約定拒否の可能性
- 市場参加者の取引が荒れるなどの理由で価格が提示されない可能性
- 業者によってスプレッドや手数料が高くなる可能性
スプレッドの広さの問題は、特にSTP口座で起きがちです。
結論を言うと、XMやTitan FXなど顧客の多いところではそんなに広くならないことが多くなってきました。
2つを比較した際のそれぞれのメリット
2つの口座は、同じNDD(ノー・ディーリング・デスク)口座でありながらちょっとした違いがあって、迷いやすいです。

- ECN口座はスプレッドがゼロに近い
- ECN口座のほうが市場のレートに近い
- ECN口座のほうがより約定速度が速い
- ECN口座では板情報・気配値を見ることができる

- STP口座は手数料がゼロ
- STP口座にはスプレッドがあるが値の変化が穏やかで固定の業者もある
- STP口座には入金ボーナスなど特典が多い
- STP口座への最低入金金額は安い
2つを比較した際のそれぞれのデメリット
共通のデメリットのほかに、それぞれの特徴ならではのデメリットが発生します。
- ECN口座はスプレッドがゼロのかわりに手数料がかかる
- ECN口座のレートは市場からダイレクトに反映されるため急変のとばっちりをトレーダーがもろに受ける
- ECN口座のスプレッドも市場でなにかあれば驚くほど開く
- ECN口座では入金ボーナスなどの特典はない場合がほとんど
- ECN口座の最低入金金額は高め
- STP口座はスプレッドが広め
- STP口座のレート配信は微細ではあるがECN口座より遅い事がある
- STP口座のほうが若干約定速度が遅い
- STP口座のほうが若干リクオートや約定拒否が起きやすい
- STP口座では板情報・気配値を見ることはできない
業者のおすすめECN口座とSTP口座

業者 | ECN口座 | STP口座 |
---|---|---|
XM | XMTrading Zero口座 | KIWAMI極口座、スタンダード(Standard)口座 |
Titan FX | ZEROブレード口座 | Zeroスタンダード口座 |
長く使っていてストレスがなく、ECN口座も気持ちよく使える海外FX業者としてこの2社を選んでみました。
どちらもプラットフォームがMT4/MT5で、困ったときにもネットですぐ調べて解決して前に進めます。
※FXでMT4プラットフォームのはじめかたと悩み解決
【完全版】MT4(メタトレーダー4)のダウンロード・インストール方法
【完全版】MT4(メタトレーダー4)の 操作方法 ~初心者編~
XMのKIWAMI口座はなかなか優秀で、スプレッドも狭いのに手数料もないという口座タイプです。
ただし入金ボーナスはないという変わり者ではあります。
新規に口座開設をするなら、最初はスタンダード口座を選んでおけばボーナスのもらい忘れもありません。
Titan FXでは、あるときからすべての口座名に「ZERO」とつくようになって紛らわしくなりました。
せっかく「ECNとSTPの違いざっくり」で見分け方を書きましたが、この業者だけはそれが通用しません。
くだらないことですが間違わないようにしましょう。
※これらの海外FX業者でのECN口座(ゼロ口座)のスキャルピング手法を書いています。
読むと得をします!
海外FXおすすめ口座でスキャルピングテクニック8パターンをマスターする!
まとめ
ECN口座を実際に使うと、世界の市場と直接つながっている楽しさを感じることがあって楽しいものです。
とはいえ最初からECN口座は難しいかもしれません。
トレードの基本は「わかっていることだけやる」です。
口座タイプの内容をよく理解出来たら好きなほうを選んでやってみてください。