RSI作者が「自分が作ったインジケーターの中で一番良い」と言ったのがDMIです。
「トレンド方向」と「エントリーポイント」がすぐわかるため、これだけでトレードをするという人もいるほどです。
最近では「ボリンジャーバンドの重大な欠点を補う」ことでも有名になりました。
・ADXの使い方(スキャル、デイトレ、中長期、その他)
・向いている相場と向かない相場
・ボリンジャーバンドをレベルアップさせるADXの使い方
もくじ
ADXとは
「ADX」は3本のラインから出来ています。
これを知っただけでも、なんとなく使える気分になってきます。
注目のADXはDMIの一要素です
このインジケーターの作者は、最初にいくつかの要素を含んだDMIというインジケーターセットのようなものを作りました。
⇒そのDMIの中に組み込まれたシステムの一つが「ADX」です。
MT4/MT5には、それを利用したインジケーターが標準装備されこの名前が「ADX」になっています。
ここではMT4/MT5で使いたいので、「ADX」のことだけお話することにします。
MT4/MT5のADXを徹底解説!
図で見たほうが早いかもしれません。
3本のラインの名前
この図だと、それぞれのラインの名前はこのようになります。
- ADX(エーディエックス)
- +DI(プラスディーアイ)
- -DI(マイナスディーアイ)
ラインの名前もADX(ADXライン)なので混乱しますが、やってみると一番使いやすく応用もしやすいのがADXラインです。
※「よくわからないけど名前はADX」と覚えても問題ありません。
※DMIとADXは、RSIをはじめ多くのインジケーターを作ったワイルダー氏が作りました。
今回は、作者の意見を振り返りつつMT4/MT5での新しい使い方もご紹介します。
3本のラインの役割を知ってから使おう
そうしないと、全く意味不明といっていいほど直感的には理解しにくいものです。
一覧表を図といっしょに見てください。
それぞれのラインが、何を表すかがわかると使えるようになります。
ライン | 表すこと | なぜ見るのか? |
---|---|---|
ADX | 上下関係なく「トレンド」の強弱を表す | 純粋に強さだけを知りたいから |
+DI | 上昇トレンドの強さだけ表す | ほかの要素を無視して上昇の強さだけ知りたいから |
-DI | 下降トレンドの強さだけ表す | ほかの要素を無視して下降の強さだけ知りたいから |
これを知らないと意味不明なインジケーターだと思ってそのままスルーしてしまい、貴重なチャンスを逃しかねないです。
とても優れた特徴を持っているので、使うチャンスを逃したらものすごくもったいないです。
もう一つ、すごい特徴があります。
これらのラインは終値でなく、一定期間の「高値」「安値」を使って出しています。
なので、終値を作る前の乱高下のような見落とされそうなチャートの微細な動きを逃さないです。
詳細を次の「メリット」「デメリット」で確認しましょう。
※+DIの値は、最新のローソク足の高値とその一つ前のローソク足の高値の差です。
-DIは同じようにしますが安値の差です。
そして、この2つを使ってADXを導き出すのです。
・高値安値の要素も含み、チャンスを逃さない
※MT4の使い方、わかりますか?
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メリット
MT4/MT5のトレードをする際に、ADXを使うとこんなメリットがあります。
- +DIラインで、上昇トレンドが続きそうか終わりそうかを高確率で検知できる
- -DIラインで、下降トレンドが続きそうか終わりそうかを高確率で検知できる
- ADXラインで、トレンドが終わりそうなときや、始まりそうなときの予想がつく
- 3本のラインで、エントリーポイントを見つけることができる
- 3本のラインで、イグジットポイントを見つけることができる
- 3本のラインで、ボリンジャーバンドなどほかのインジケーターの欠点を補うことができる
エントリーポイントなどのシグナルは、誰でもわかるような簡単なものです。
詳しくは「実際のトレード【売買シグナルはたったこれだけ】」で説明します。
※トレンドがよくわからないならこちら
デメリット
デメリットは以下になります。
- トレンドがないときは、3本がくっついてしまい、ダマシが出やすい
- MT4/MT5の標準で出すと、見づらい
- ラインが3本もあるので、判断間違いを起こしやすい
でも、見間違いや判断間違いは防げます。
次の「MT4/MT5での出し方と設定」で解説します。
MT4/MT5でのADXの出し方と設定
ここにあります。
左側の「ナビゲーター」の「一般」タブの中にインジケーター(インディケータ)があります。
それぞれ以下の順でADXを見つけて、チャートまでドラッグすると下に表示できます。
- MT4「インディケータ」「トレンド」「Average Directional Movement Index」
- MT5「指標」「トレンド系」「Average Directional Movement Index」
※「Average Directional Movement Index」はADXのことです。
パラメーター設定
普通はこのまま使えますが、もしどうしても変更したいときは以下のようにします。
MT4/MT5でADXのどれかのラインの上で右クリックします。
そこから、「ADXプロパティ」を選ぶとメニューウィンドウが出ます。
- MT4:「パラメーター」タブで「期間」の数値をダブルクリック、好きな数値を入力し「OK」
- MT5:MT4と同じです
※パラメーター変更をするのはどういうときかは、「パラメーターの最適化って?」のところを読んでください。
【見づらさ解消】色と太さの設定
※「ADXプロパティ」を開くところまでは「パラメーター設定」と同じです。
- MT4:「パラメーター」タブで「スタイル」の右端をクリック、プルダウンメニューから太いラインを一つ選んで、「OK」
- MT5:MT4と同じです
このように、【せめてメインとなるADXラインを太くするだけ】ですごく見やすくなったと思います。
色の設定ですが、MT4は「色の設定」タブで開きます。
MT5は「パラメーター」を開いたままで「スタイル」などに色があるので、そこをクリックしてプルダウンメニューで色を変えることができます。
そして、ラインのデザインを変えることでもっと見やすくすることもできます。
⇒+DIと-DIが点々で表されるので、目がチカチカするという人は真ん中のメニューで直線にすれば改善します。
先ほど変更した色の隣にラインのメニューがあります。
そこのプルダウンメニューに点線ではないラインも選べるようになっています。
ここを触っても壊れたりしないので、いろいろ開いて触ってみましょう。
上の図で、設定の終わったADXがウィンドウの背後に見えています。
+DIとDIは、濃いめの緑と赤にしてADXをより目立たせるようにしました。
これで見間違いが減るでしょう。
それぞれ好みの色や太さを探して最適なものを選んでください。
※この設定が終わったら、MT4/MT5に覚えさせることもできます。
そうすれば、いつでもこの設定を呼び起こすことができます。方法は、「【完全版】MT4(メタトレーダー4)の 操作方法 ~レベルアップ編~」の「MT4のテンプレート・組機能」を読んでください。
実際のトレード【売買シグナルはたったこれだけ】
誰にでもわかりやすいシグナルなので、すぐ覚えられとても優秀です。
「Average Directional Movement Index」
トレンド転換シグナル
有名でよく使われているのが「トレンド転換のシグナル」です。
※+DIと-DIのクロスがシグナルになります。
図と表で確認してください。
図の「売りシグナル」では、+DIと-DIが少しからまってしまい一度ダマシになっています。
それにも負けずに、-DIがぐっと上昇したところでエントリーすると下げを取ることができます。
では、表にまとめましょう。
シグナルが有効な条件 | シグナル | 注意 | |
---|---|---|---|
買いシグナル | ADXができるだけ右下がりになっているとき | 上にあった-DIが下がって来て、上がり始めた+DIがクロスして上がったとき | この変化が起きるか起きないかのうちにエントリーし、ダメと気づいたらすぐ損切りする |
売りシグナル | 上と同じ | 上にあった+DIが下がって来て、上がり始めた-DIがクロスして上がったとき | 上と同じ |
“シグナルが有効な条件“のADXの動きがわかりにくいかもしれませんので補足します。
そのときに、強いトレンドが負けて反対のトレンドに変わるときにADXは最初のトレンドの弱さを捉えてしまうのでいったん下がります。
それと同時に、DIのどちらかがワーッと上がり新たなトレンドが勢いよくスタートしたということになります。
※この手法を使えるおすすめ海外FX
ダマシについて
注意のところにあるように、この変化は一瞬でチャートがグダグダと上がったり下がったりすることもあります。
そういうときは「ダマシ」になってしまいます。
また、上の図の「売りシグナル」のように1回ダマシがあったけれどやっぱりトレンドが強く続くようなこともあります。
「クロスすると思ってエントリーしたのに、また反対に動いてしまった!」ということはよくあるので、小さく損切りしながら何度か挑戦し大きく取れるチャンスを待つのも一つの方法です。
特にスキャルピングでインジケーターを使うときは、臨機応変な行動が良いです。
半面、デイトレード以上なら他の要素が良さそうならそのまま様子を見る選択肢もあります。
ADXだけでトレードするという人は、スキャルピングをする人がほとんどです。
また、このシグナルは出るのが遅くなります。
図の例を見ても、チャートはもう反転しているようなのに2本のDIはクロスしていません。
それが気になるときは、ローソク足を読むか他のインジケーターで補足して使います。
※国内業者よりも、素早く動けてチャンスに強い!その理由は
トレンド継続のシグナル
ADXが上にあるうちは、そのときのトレンドが続くと見ます。
下がり始めて、右下がりになり始めたらそのトレンドをフォローするのは終了です。
次にトレンド転換するのを待ちます。
【超おすすめ】組み合わせるインジケーター
では、組み合わせて使うインジケーターのおすすめをご紹介します。
そうすると、トレンドの上下の形も見やすくなりADXはあくまで「強さ」を示すのでお互いに補い合えるのです。
おすすめインジケーターは以下のように、トレンド系と呼ばれるものです。
- ボリンジャーバンド
- エンベロープ
- 一目均衡表
- 移動平均線(EMA、SMA)
使い方はみんな同じなので、今回はボリンジャーバンドで解説します。
※移動平均線は基礎の基礎!読んでおこう
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、「±2σよりも外に出たら逆張り」みたいな使い方をする人も多いでしょう。
しかし、トレンドが始まると最大の欠点が訪れます。
もちろん、チャートが下に行った時も同じように逆張りに悩むことになります。
⇒そこで、ADXを併用する手法が使われます。
(上の図は、左から右に見ていってください。)
左側のチャートは下がり始めているように見えますが、もしかしたら高確率でボリンジャーバンド内に戻ってしまうかもしれません。
⇒もしそうなら、逆張りで「買い」ということになります。
しかし、エクスパンションが起きそうにも見えます。
⇒そこで、ADXラインを見ると上がり始めています。
ついでに、-DIがすごい勢いで上がってきているので売りの力が強くなっているとわかります。
⇒そこで順張りで「売り」をします。
(ショートポジションを取る。)
図の右側が、その後のチャートの様子です。
見事下がってショートで勝てるというわけです。
「ボリンジャーバンドだけでは売ればいいのか買えばいいのかわからない」という悩みが解決できました。
他のインジケーターも、これと同じようにADXラインとDIラインで強さを見ながらやっていけば自信のあるエントリーができます。
【誰も知らない】RSIを助ける方法
RSIには上下水平にラインが引かれていて、それに対しRSIが下から上に抜けたら「買いシグナル」といわれることがあります。
(上の図の小さい2個の〇のようなところです。)
たしかに買いシグナルなのですが、めちゃくちゃダマシが発生しそもそも大きい下降トレンドの流れが来ているとしたら単なるノイズということになります。
⇒ADXライン1本見るだけで、それが上のほうにあればトレンドが元気だということです。
上の図だと、RSIで買いシグナルが出たところはどちらもADXは上がっています。
⇒つまり、下降トレンドが健在でとても買いをすることができないとわかります。
RSIもADXも、どちらもチャートの下に出すインジケーターなので無駄な感じもします。
ですが、常々「RSIが使いにくい」と困っている方は一度試してみてください。
これは、自動売買のルールにも使いやすいです。
どんな相場と市場に向く?
トレンドが強いかどうかを教えてくれるインジケーターですから、基本はどんな銘柄にも使え市場も選びません。
特にファンダメンタルズ要因が変化したかと思うときは、ADXを出してトレンドが変わるのかどうかを見極めるのに使えます。
※ファンダメンタルズの基本
こんな相場に向く
注目されているような市場で、チャートがよく上下していると使いやすいです。
こんな相場には向かない
ずっとトレンドが作られていないような相場は、チャートが上がりも下がりもせず横ばいです。
そんなときにはADXも横ばいで動きがないので、派手に使うことができません。
まとめ
今回、人気のあるMT4を中心にお伝えしました。
とても汎用性が高いためiFORXにもあります。
どの業者を使っていても一度は表示させてみてくださいね。
パラメーターの最適化って?
パラメーターの最適化をします。
これは他のインジケーター(インディケータ)でも同じです。
初心者向けではないかもしれません。
面倒で中級者以上向けですが、チャレンジしたいときはこちらを読んでください。
この記事の「MACDのパラメーターを銘柄別に最適化するには」に書いてあります。
他のインジケーターはこちら
今回のADXはとても汎用性が高いですが、まだまだ使えるものはたくさんあります。
他のインジケーターの面白い使い方とファンダメンタルズのチート技もぜひ読んでください。